理念と役割

「ミッション」「ビジョン」「理念」などが最近重要視されています。

「ビジョン経営」「ビジョナリー・カンパニー」などの言葉も、ビジネスをやっている方の中では浸透してきました。

 

たしかにそれはとても大切なことなんですが、いきなりそれを形作ろうとしても、形だけになってしまうことがほとんどです。

 

「それ、理念なのかな?」

「それ、どこかで聞いたな」

「それって、ただの個人的な願望だよね」

 

とか思うような経営理念やビジョンを作っても、効果がないどころか、遠回りになってしまうことすらあります。

 

いきなり理念やビジョンを作る前に、考えておいたほうがいいことがあります。

 

「理念」と「役割」

生き方の4段階

数多くの起業家・事業家や、ビジネスパーソンとお話しする機会があります。

 

みなさんを見ていると、生き方には4つの段階があるんだなあと思うようになりました。

 

ざっというと

1.飯を食えるぐらいになる(生活のステージ)

2.成功したい(いわゆる成功のステージ)

3.人生の意味を考える(役割を果たすステージ)

4.使命を果たす(社会やその上位概念を考えるステージ)

の4つ

 

※1〜4に優劣はありません。ただ、その人がどんな思考をしどんな状況にあるかということです。

 

基本、マズローの5段階欲求説の「承認」までが上記の1・2に対応するかなと思います。

 

で、上記の「3」以上になると、世間的には目立たなくなりますね。あんまり。

 

いわゆる活躍している(ように見える)人って、「2」の段階の方が多いように思います。

 

「3」以上の段階は、小欲が無くなる感じです。

 

自分が何をしたい、これがほしいと言うよりも、自分がなすべきことはなにかをわきまえ、それを果たす。

 

それが多くの人を巻き込み社会を変革し始めるのが「4」で、本来の意味でのミッションやビジョン、理念というのは、ここで作られるものかと思います。

 

「2」の段階で作られたビジョンやミッション・理念は、人を巻き込む力はあります。だから、個人・企業としての成功は望めます。

 

ただ、社会を巻き込む力には至りません。

 

「2」の段階の理念は自我から発する小欲

「4」の段階の理念は、無我から発する大欲

といえばいいでしょうか。

 

いずれにせよ、社会を巻き込むような理念は、まず自分の役割を無意識にせよ意識的にせよ自覚する「3」の段階を経てはじめて形づくることができる

 

そう思います。

 

政と信の違い

「天下の大将軍になる」

「中華を統一し、戦乱の世を終わらせる」

 

『キングダム』の主人公・信と、その盟友である秦王・政(のちの始皇帝)の持つ望みです。

 

どちらも、その目標を描いた時点では、夢物語でしかない。

 

まさに戯言でした。

 

その戯言を着実に現実にしていく姿を見て、ますます多くの応援者(と敵対者)が増えていくわけですが。

 

では、この両者の持つ願望の違いは、どこにあるか。

 

信の望みは「2.成功したい」の段階にあり、政の望みは「4.使命を果たす」の段階にある、ということだと思います。

 

どちらが人を巻き込むか。

 

信のそれは個人的な願望であり

政のそれは個人を離れた使命です。

 

信は、その願望を達成するためにがむしゃらに動き続けます。

 

結果、周囲が応援し協力してはくれます。

 

しかし、それはあくまで個人的な願望。彼がそれを達成するかどうかはどうでもいいことで、彼が死んでも歴史に大勢の変化はありません。

 

一方、政が死ねば、中国の統一は大幅に遅れたか、あるいは統一できずに現在のヨーロッパのようになっていた可能性もあります。

 

信の願望と政の願望には、それだけ大きな違いがあります。

 

役割の自覚

じゃあ政の方がえらいのかといえばもちろんそんなことはありません。

 

ただ、代替の効かない存在として、幸せに(かつ成功する)には

 

個人の願望を全面に出すのではなく

・果たすべき「役割」を規定し

・その自覚した役割からなる理念・ビジョンを発信する

ことが必要になるのではないかなと思います。

 

信は、政の理念に巻き込まれる形で自分の役割を規定しました。

 

「自分は、政の金剛(ダイヤモンド)の剣」

だと(コミックス 第27巻)。

 

「2」の段階から、「3.役割」の段階に自分をシフトさせたといえます。

 

これによって、信の願望はイコール、政の願望(使命)と一体になります。

 

ここ以降、信の存在は公のものとなります。

 

自分が大将軍になることが、政の抱くビジョンを果たすことに繋がる。

 

自分の願望だった「天下の大将軍になる」という願望が

中華統一という理念を達成するための理念に昇華したと言えます。

 

政のビジョンに巻き込まれる形になったわけですが、結果、信は歴史の中で代えの効かない存在となっていきます。

 

理念と役割

僕がいまさら言うことでもないですが、時代は大きく変化しています。

そのスピードも、そして変化の大きさも。

 

昭和の時代の変化が「1」だとすると

平成はその倍

令和はさらにその倍と、幾何級数的に変化が早く大きくなっています。

 

昭和・平成の半ばまでは、上述の「2.成功したい」段階をみんな目指していました。

しかし、阪神淡路や東日本の大震災を画期として、徐々に

「3.人生の意味を考える」

「4.使命を果たす」

段階の人・企業に注目が集まり、選択肢に入ってきています。

 

そして今後は、ますますその流れが加速するでしょう。

 

なぜなら、そうでないと応援してもらえず、当然事業の成功もないからです。

 

経営者などのクライアントを支える先生業の立場として、自分がどこに身を置き、どの段階の人を応援していくのか。

 

問われる時代になると考えますが、どうでしょうか。

 

それでは今日はここまで。

 

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